2015.10.19

ぜひ知ってほしい弁護士費用の仕組み

しばしば「弁護士に頼むと金がかかる」という声が聞かれます。確かに弁護士に裁判を依頼すれば数十万円からの費用がかかるため、そう思われても仕方ないかもしれません。

ただ弁護士がそれなりの費用をいただくのにも理由があるのです。

弁護士費用は大事な人生を預かる仕事のためにいただくもの

裁判には、金銭の請求や離婚・相続などの民事事件、犯罪が裁かれる刑事事件など様々な種類のものがあります。裁判の判決はどれも人の権利義務を確定させる役割をもつので、裁判の行方は人の一生を左右しかねないほど重大です。
弁護士は依頼者の側に立ち、その利益を守るために知識や経験を駆使してトラブルの解決にあたるため、その責任はとても重いものです。これが費用に影響する点は否めません。

もう一つには、弁護士費用の金額や仕組みがよく分からずに漠然と「高い」とイメージされがちだ、という理由があると思います。
それでは弁護士費用の仕組みや明細などはどうなっているのでしょうか。

依頼の内容や事例によりさまざまな明細に分かれる弁護士費用

弁護士は事務所ごとに報酬規定を定めているため、弁護士費用も事務所によって異なります。ただ弁護士費用の基本的な仕組みはどの事務所でも変わりはありません。

法律相談料

法律相談料は、弁護士が皆様の相談をお聞きしてアドバイスをした際にいただく費用で、正式な依頼をされた場合の費用は含みません。相談内容や相談時間に応じて金額が定められている場合が多いです。

着手金・報酬

弁護士が正式な依頼を受けて依頼者の代理人となる場合、着手金と報酬という二度の費用をいただくのが通常です。裁判の場合のほか、相手方と交渉する依頼の時も同じように必要となります。

着手金とは、正式な依頼を受ける際にいただく費用で、その結果が依頼人のご希望に沿わない場合であってもお返しするものではありません。

報酬とは、依頼された仕事が完了し成功の結果が得られたとき、着手金とは別にいただく費用です。事件等の結果が判明した時点で、成功の程度に応じた金額の報酬が発生します。全く成功の結果が得られなかった場合(例えば、訴訟で完全に敗訴したような場合)には発生しません。

通常は弁護士が依頼者に、報酬規定や依頼者の受ける利益等から算出した金額を提案した後に、双方の合意により決められることになります。着手金や報酬額については、見積書も発行しておりますので、お気軽にお申し付け、ご相談下さい。

手数料・実費

弁護士は裁判や交渉事件以外にも、内容証明、契約書などの法律文書の作成を行いますが、その際にいただく費用が手数料です。
業務のため実際に出費した、収入印紙代や予納郵券(切手)代、記録謄写費用、通信費、交通費、宿泊費、戸籍謄本・登記事項証明書等の交付手数料等を実費いいます。

ケース別!弁護士費用の相場はどのくらい?

かつては、日本弁護士連合会の基準により、事件の種類に応じて弁護士費用は一律化されていましたが、現在は、弁護士費用は自由化されているため、相場より高額な弁護士事務所もあれば、相場に準じた弁護士事務所もあります。
弁護士費用は弁護士事務所によって異なることを十分承知したうえで、自分が依頼したいと思える弁護士事務所を探すことをおすすめします。
また、弁護士費用は事案の内容・難易度によって変わるので、あくまでも目安であるとご理解ください。

離婚問題

【慰謝料請求】
獲得金額の10~20%の報酬が加算されます。

【財産分与】
獲得した経済的利益の10~20%の報酬が発生します。

【親権争い】
成功報酬の相場は10~20万円です。
子どもの人数や年齢によって変動することがあります。

【養育費】
子ども1人あたりに支払われる1年間の養育費の10%が報酬の相場です。
養育費を受け取ることができる期間によって加算されることもあります。

相続問題

【遺産分割協議】
遺産の額によるので一概には言えませんが、示談交渉、調停ともに、着手金の額を最低20万円~30万円としていることが多いです。

【遺留分減殺請求】
交渉、調停・審判、訴訟ともに着手金の額を最低20万円~30万円としているところが多いです。

【相続放棄】
相続放棄は裁判所への手続きが必要となるだけでとくに誰かと争うわけではないので、手数料だけで済むケースが多いでしょう。
手数料の相場は10万円程度です。

【遺言書作成】
遺言書を作成する場合には、文量によりますがおよそ15万円程度が相場でが、別途日当や実費などが発生することもありますので、実際の金額はこれよりも高額になることがほとんどです。
また、遺言を公正証書にする場合は、別途3万円程度の手数料が加算されます。

交通事故問題

【着手金】
交通事故の場合、完全成功報酬制をとっている法律事務所が増えています。
そのため、着手金はかからないことが多いです。
着手金がある場合、10~20万円程度が相場です。
「無料」の文字に騙されず冷静に判断することをおすすめします。

【報酬金(成功報酬)】
・任意保険に弁護士特約がある場合
多くの任意保険には、「弁護士特約」が付帯されています。
これは、交通事故被害に遭った場合の弁護士費用を一定額(多くは1回300万円)まで補償してくれる、というものです。
そのため、弁護士特約がある場合には、基本的には費用負担を心配せずに弁護士に依頼することができます。

・弁護士特約がない場合
弁護士特約がない場合には、自費で弁護士を依頼しなければなりません。
弁護士特約が無い場合にかかる成功報酬は、相手方から回収した金額の10%~20%程度が相場です。

弁護士保険とは?メリット・デメリットについて

トラブルが発生した場合に頼もしい存在である弁護士ですが、その相談費用は数十万円になるケースも珍しくありません。
弁護士費用を工面することができずに諦めてしまう方が大勢います。
そうした場合、少ない保険料で弁護士に相談する際の弁護士費用を補償することを目的としたのが弁護士費用保険です。

頼りになる弁護士保険ですが、以下のようなメリットとデメリットがあります。

    【弁護士保険のメリット】

  • 幅広いトラブルに対応できるので安心
  • 保険料が安く加入ハードルが低い
  • トラブルの抑止力となる(カードやステッカーがある場合)
  • 弁護士への初期相談がサービスとして付帯されている

    【弁護士保険のデメリット】

  • 法律トラブルに関する弁護士相談費用がすべて補償されるわけではない
  • 加入時点で発生している事件は補償対象外になる
  • 加入してから一定の待機期間、不担保期間がある

高くても弁護士に依頼するメリット

弁護士に事件を依頼した場合に、上記のように弁護士費用はかかります。
では、高い費用を支払ってまで弁護士に依頼するメリットはどこにあるのでしょうか。

(1)時間や労力の軽減
弁護士は、全ての対応を依頼者の代理人として弁護士が行います。
そのため、時間や労力だけではなく、精神的な負担も大幅に軽減することができます。

(2)適切な手続きの選択による迅速な解決
法的問題を自分で解決しようとすれば非常に時間・手間がかかります。
弁護士に依頼することで、事案に応じた臨機応変に手続きを選択し、迅速な解決が可能になります。

(3)相手への心理的プレッシャー
弁護士が代理人になることで、依頼者の決意が伝わるとともに、より強力な法的手段が直ちに講じられてしまうかもしれない、という心理的なプレッシャーを与えることができます。

人生を左右する局面で「費用」を理由にあきらめないでほしい

人生を大きく左右する局面で「費用」を理由に弁護士への依頼をためらってしまうのは、あまりにも、もったいない事です。
ご相談時に解決までにいくらかかるのか、支払い方法(分割払いが可能か)など、きちんと相談し納得した上で相談することをおすすめします。

【次の記事】弁護士に何を相談する?知っておきたい弁護士の利用術

弁護士に相談していい事なのか?受け入れてもらえるのか?と思う方のために、相談のタイミングや実際に多い事例をご紹介します。少しでも早く、どんなことでも弁護士に相談することが解決への近道です。

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この記事を書いた人

吉津健三

弁護士 吉津健三

福島県只見町出身。中央大学法学部法律学科卒。
平成18年、福島県郡山市できつ法律事務所を設立。
令和3年度、福島県弁護士会会長を務める。

コメント

郡山市の皆様の法的トラブルが一刻も早く解決できるよう
常に迅速な対応を心掛けています。一人で抱えずにご相談ください。