従業員を解雇する前に

従業員を解雇するには?

経営者は能力の乏しい従業員に対して「解雇して当然」と思ってしまいがちです。
しかし、日本の労働法制では、従業員を簡単に解雇することはできません。

労働者を解雇するには合理的な理由が必要なのです。安易に従業員を解雇してしまって、のちに裁判で訴えられ、多額の賠償金を払わなければならないこともあります。

仮に、このことを知らず、安易に解雇手続きを進めてしまった場合には、対象となる労働者との間で紛争が発生し、仕事もしないのに解雇が認められるまで給料を支払わさせられたり、労働訴訟などになり多大な労力を強いられてしまうことに繋がりかねません。

また、仮に解雇を認める理由があったとしても。その従業員の解雇をしないための努力義務を尽くしたかどうかが重要です。

従業員解雇の前の3つのステップ

指導・教育を行う義務

たとえ能力が乏しい従業員でも、すぐに解雇するのは難しく、裁判所からは従業員の能力がないことを示す証拠の提出を求められます。能力の有無を立証するのは大変難しいのです。

また、証人になる採用担当者、総務担当者の精神的な苦痛を伴い、会社と従業員が合意して退職する合意退職がのちのトラブル発生の防止として有効です。

まずは、会社が能力がないと考える従業員に対して、適切な教育・指導を行います。
その際、指導、教育の結果、どのように当該従業員が変わったのかを書類に記録しておきましょう。

退職勧奨の実施

それでも、客観的な勤務成績が向上しない場合は、就業規則に基づいた降格、降給を実施するべきです。そして、降格・降給を実施する前に退職勧奨をします。これに応じるのであれば、退職金を上積みするということも有効です。家族構成に応じて金額を加算するというのも一つです。

また、退職に合意をした場合、きちんと合意書を作成しましょう。合意書の文面の作成は弁護士などの専門家に相談する必要があります。書面に不備があれば、トラブルを引き起こしかねません。退職勧奨の際、脅迫、詐欺などで無理やり退職をさせられたと主張されないように必ず2名で面接に臨んでください。

解雇の実施

退職勧奨にも応じてもらえない場合、解雇を実施することになります。まず、従業員を解雇する場合には、30日前の予告によって解雇をするか、または30日分の予告手当を支払わなくてはいけません。

原則として、その日にすぐやめてもらうことは難しく、解雇する場合でも従業員の意思をきちんと聞いておきましょう。
それを鵜呑みにする必要はありませんが、きちんとした手続きを踏んでおかなければ後にトラブルを引き起こす原因になります。

内定を取り消ししたいときは…?

採用内定とは、「入社日に労働契約が発生し、かつ内定解約する権利を会社側が持っている条件付きの労働契約の成立」をいいます。

従って、採用内定を出した後であっても内定を取り消すことが可能です。

しかし、内定を取り消すには正当な事由が必要です。

取り消し可能な理由とは?

原則として客観的に見て合理的で会社通念上相当と認められる場合に限ります。

  • 入社予定の学生が、学校を卒業できない場合
  • 履歴書・契約書に偽りがあり、採用するにあたって重大なものである場合(資格の偽装など)
  • 採用に差し支える罪を犯した場合
  • 事故や病気などで勤務が困難になってしまった場合

したがって、人事部の判断ミスで内定を出し過ぎてしまったために内定を取り消すということはできません。