セクハラ・パワハラにはどう対応すればいいの?

セクハラとは?

身体に触れたり、性的関係を強要したりすのはもちろんのこと、性的な発言や、性的な記事が出ている雑誌を広げるなど、相手が不快に感じればセクハラになります。

個人が損害賠償を求められるだけでなく、見て見ぬふりをしたり、被害者から相談を受けたにも関わらず、なんの対策も取らなかった場合には、会社側も管理責任を追及され、慰謝料支払いを命じられる可能性があります。

男女雇用機会均等法でも、職場におけるセクハラ防止のため、雇用管理上必要な配慮をとらなければならないと定めています。

パワハラとは?

パワハラとは、地位や権力を持つ相手によって行われる理不尽な命令や暴力のことをいいます。
絶対に達成不可能なノルマを課すことや、逆に全く仕事を与えないこともパワハラになります。

セクハラとは異なり、パワハラに関する法令はありませんが、損害賠償を求められるケースもありますので、実態を把握したら早急な措置をとる必要があります。

なお、労働者と会社の個別の争いに限り、地方裁判所で3回以内の審理でスピーディーに解決を図る制度があります。
どこからがパワハラなのかという線引きはあいまいですので注意が必要です。
もしも相談を受けた場合、見て見ぬふりをせずに適切に対処しましょう。

セクハラ・パワハラによる損害賠償請求

誰が責任を負うのか

もし従業員の誰かがセクハラ・パワハラの被害を受けた場合、被害者は人格権侵害に基づいて、加害者(被害者の上司や同僚など)に対して損害賠償を求めることができます。

それだけでなく、会社自体も損害賠償責任を負うことになります。
これは、会社が被害者に対して次のような法的義務を負っているからです。

  • 使用者責任(民法715条)
  • 債務不履行責任(民法415条)
  • 職場環境配慮義務(労働契約法5条)

ですから、セクハラやパワハラを受けた被害者は、加害者と会社の両方を訴えることもでき、加害者のみ、あるいは会社のみを訴えることもできます。

セクハラ・パワハラによる損害賠償請求

1,慰謝料請求について
セクハラ・パワハラを受けた精神的苦痛を慰謝するための費用として被害者から慰謝料を請求されます。
精神的苦痛の大きさを測ることは難しいため、一般的には被害を受けた期間、頻度、言葉の内容、被害の大きさ(鬱になってしまったなど)を総合的に見て慰謝料の算定がされます。
50万円~100万円程度が請求されることが多いですが、場合によっては300万以上という額になったケースもあります。
2,逸失利益
セクハラ・パワハラによって心身にダメージを負わせて会社を休ませてしまったとき、休業期間中の給与を支払わなければ損害として支払いを求められることがあります。
さらに、休業後も回復のめどが立たず、被害者が会社を辞めざるを得ない場合には、次の職場が見つかるまでの期間(3ヶ月~半年程度)の給与を損害として求められるケースがあります。
また、セクハラやパワハラによって受けた被害によってうつ病になり、以前と同じように働くことが難しくなったという場合には生涯にわたって損失利益を請求されることも考えられます。

セクハラやパワハラを見て見ぬふりをしていては、トラブルがこじれて会社に対して多額の請求をされることになりかねません。

社員が労働しやすい環境のために配慮することが経営者側に求められています。

この記事を書いた人

吉津健三

弁護士 吉津健三
福島県只見町出身。中央大学法学部法律学科卒。
平成18年、福島県郡山市できつ法律事務所を設立。
令和3年度、福島県弁護士会会長を務める。

コメント
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常に迅速な対応を心掛けています。一人で抱えずにご相談ください。