2014.7.18

相続税改正に伴う基礎控除・税率変動のお知らせ

郡山市で弁護士として法律相談を受けてきましたが、相続トラブルに関する相談も多く頂きました。

そんな中、「相続トラブルなんて資産家にしか関係ない」と思っていたが、いざ相続が発生して慌ててしまうケースも少なくありませんでした。

しかし2015年1月に施行される相続税制改正により、悠長なことを言っていられなくなります。

これに伴い相続税対象者が1.5倍に増えると見込まれており、他人事ではなくなってくるでしょう。

相続をスムーズに進めるためにも、早めの情報収集と対策を心がけたいものです。

相続税の基礎控除の縮小

2013年の税制改正によって、相続税は2015年以後の相続および遺贈から増税されることが決まっています。

これによって、相続税の基礎控除が引き下げになってしまったので、相続税がかかる方が増えるのは間違いありません。

相続税の基礎控除の算出方法

2014年12月まで 5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)=基礎控除額
2015年1月以降 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額

例えば、3人家族(夫・妻・子供1人)の場合、仮に2014年にご主人が亡くなってしまったとしても、相続財産の7,000万円(5,000万円×1,000万円×2人)までは相続税は掛かりません。

しかし、2015年以降に相続が発生すると、4200万円(3,000万円×600万円×2人)を超えた資産に相続税が課税されます。

基礎控除が4,200万円では持家のある一般家庭の方なら相続税が発生する可能性もあります。

相続税の税率もアップ

相続税制改正により、税率も引き上げられます。

相続税率引き上げの対象になるのは、2億円超過分が45%に、6億円超過分が55%になります。

遺産額から基礎控除を引き、法定相続分で分けた後に税率を乗じますので遺産額がかなり大きい人が対象になります。

ここで、相続税率をもう一度確認しておきましょう。

法定相続人の取得金額 現行 改正後
税率 控除額 税率 控除額
1千万円以下 10%

0

10% 0
1千万円~3千万円以下 15% 50万円 15% 50万円
3千万円~5千万円以下 20% 200万円 20% 200万円
5千万円~1億円以下 30% 700万円 30% 700万円
1億円~2億以下 40%

1,700万円

40% 1,700万円
2億円~3億円以下 45% 2,700万円
3億円~6億円以下 50% 4,700万円 50% 4,200万円
6億円~ 55% 7,200万円

例えば…法定相続人が子2人で、遺産6億の場合

改正前
6億円-基礎控除額7000万円=5億3000万円
5億3000万円×法定相続分1/2=2億6500万円(この金額に税率を乗じます)
(2億6500万円×40%-1700万円)×2人=1億7800万円(相続税の総額)
改正後
6億円-基礎控除額4200万円=5億5800万円
5億5800万円×法定相続分1/2=2億7900万円(この金額に税率を乗じます)
(2億7900万円×45%-2700万円)×2人=1億9710万円(相続税の総額)

今後は、相続税発生前の早期対策がますます重要になります。

相続税対象者が1.5倍に増えると見込まれるなか、親族間のトラブルが発生することもあるでしょう。

相続人の間で起こるトラブルは、裕福でない一般家庭でも起こり得ます。

そんなとき、相続人それぞれが納得できる方法で相続手続きができるよう全力でサポートをさせていただきます。

どうぞ郡山市の弁護士 きつ法律事務所へご相談ください。

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この記事を書いた人

吉津健三

弁護士 吉津健三
福島県只見町出身。中央大学法学部法律学科卒。
平成18年、福島県郡山市できつ法律事務所を設立。
令和3年度、福島県弁護士会会長を務める。

コメント
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常に迅速な対応を心掛けています。一人で抱えずにご相談ください。