2014.9.1

平成26年8月27日(水)の読売新聞に弁護士吉津健三の法律相談の記事が載りました。以下にその全文を転載します。

 

【質問】事故の「評価損」いくら請求できるか?

赤信号で停車中に、後ろの車に追突される事故に遭いました。幸い怪我はしなかったのですが、私の車は大きく損傷しました。修理費用は加害者側が支払ってくれましたが、修理費用のほかに「評価損」という損害も加害者に請求することができると聞きました。「評価損」とはどのようなもので、どのくらいの金額を請求できるのでしょうか。

 

【回答】車種・走行距離などで算定
事故に遭った自動車を修理しても、①機能や外観に欠陥が残る②事故歴により中古車としての価格が低下する――ということがあります。このような場合、事故当時の車両価格と修理後の車両価格との差額のことを「評価損」と言います。
まず、①の場合は、修理しても完全には元の状態に戻らないということですので、車両価格が事故前に比べて低下していると言えます。このため、評価損は認められます。
問題は②の場合です。この場合、修理によって事故前の状態に戻っていますので、客観的には価値の低下はないとも言えます。しかし、事故歴や修理歴のある車両の市場での価格は、一般的に低下しますので、この場合でも評価損は認められると考えることもできます。
この点で、現在の実務では、具体的な事情に応じて評価損の有無やその金額を判断するということになっています。評価損の算定方法としては、修理費の一定割合とする方法が採られるケースが多くなっています。
具体的には、事故車両の車種、走行距離、初度登録から事故までの期間、損傷した場所や損傷の程度、修理の程度、事故当時の同型車の時価、一般財団法人日本自動車査定協会の査定などの事情を総合的に考慮して評価損を算定します。
相談者の場合、例えば、新車で購入してから1か月しか乗っておらず、走行距離も200キロ・メートル。しかも、自動車の走行機能の中枢部が損壊したといった事情がある場合は、評価損は認められやすいと思われます。

 

しかし、既に5年くらい乗っている車で、走行距離も数万キロ・メートルになっている場合は、評価損はなかなか認められないのが実情です。専門書の中には、外国車・国産の人気車種は5年(走行距離6万キロ・メートル)、国産車は3年(同4万キロ・メートル)以上になると、評価損は認められにくくなると指摘しているものがあります。
いずれにしても、②の場合の評価損が認められるかどうかは、具体的な事情に基づいての総合的な判断によりますので、弁護士、公益財団法人日弁連交通事故相談センター、公益財団法人交通事故紛争処理センターなどに相談することを勧めます。(回答=吉津健三弁護士)

この記事を書いた人

吉津健三

弁護士 吉津健三
福島県只見町出身。中央大学法学部法律学科卒。
平成18年、福島県郡山市できつ法律事務所を設立。
令和3年度、福島県弁護士会会長を務める。

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