2016.7.22
福島市内に住む40代の女性からの相談事例をご紹介します。
交通事故でむち打ち(頚椎捻挫)になってしまい6ヶ月間治療を継続したが、相手方保険会社から治療打ち切りの連絡があり、主治医からも症状固定していると言われたそうです。ただ、まだ、肩から首にかけて痛み(シビレ)が残っているため、後遺症として認定してもらえないかとの内容でした。
後遺障害として14級9号に認定される可能性あり
交通事故が原因でむち打ちになったことによる痛みやシビレのうち、治る見込みのないものについては、後遺障害のうち、「局部に神経症状を残すもの」として、14級9号に該当する可能性があります。
ただ、14級は交通事故の後遺障害の等級では最も低く、また、他覚所見(レントゲン等で客観的にわかる検査結果)がない場合が多いため、痛みやシビレが残っていても後遺障害として認定されない可能性も十分にあります。
後遺障害として認定された場合は、損害賠償の対象となるので、慰謝料や逸失利益が請求できます。
後遺障害の認定は診断書で決まる。
交通事故における後遺障害の認定は、損害保険料率算出機構という機関が、主治医の診断書(後遺障害診断書)を見て認定するという書類審査の方式を取っています。ですから、診断書の記載内容次第で、後遺障害として認定されるかどうかが決まるといっても過言ではありません。
ところが、医師は、後遺障害として認定してもらうために診断書を書いているわけではないので、診断書に細かい症状が記載されていなかったりしたために、後遺障害の認定につながらない場合があります。
例えば、普段は痛みやシビレがひどいのに、通院した日はたまたま痛みが少なかったということもあるかもしれません。そのような場合も、普段の症状を正確に医師に伝えておくことで、後で診断書に記載してもらえるようになりますので、きちんと症状を医師に伝えることが大事です。また、通院ひとつをとっても、仕事の都合等でなかなか通院できない場合もあると思いますが、きちんと通院しておくことは、それだけ症状が深刻であったことの裏返しにもなり、後遺障害の認定にプラスに働くことがあります。
後遺障害と認定されるかどうかで、交通事故の賠償額は大きく変わる。
症状固定後(治療をしても治る見込みがないと判断された後)に痛みやシビレが残っていても、後遺障害として認定されなければ、それについての損害賠償請求はできません。しかし、後遺障害として認定されれば、その等級に従って、慰謝料(これは治療中の入通院に対する慰謝料とは別です)及び逸失利益が請求できるので、交通事故における損害賠償額の総額は大きく変わってきます。
逸失利益の請求とは、後遺障害があるとその後の労働に悪影響が出る(収入が減る)可能性があるという考え方から、交通事故に遭われる前の収入を基礎として一定額を算出し、これを損害として請求できることをいいます。
後遺障害の可能性がある場合は、きつ法律事務所にお任せ下さい。
上でも述べましたように、交通事故において、適正に後遺障害を認定してもらうためには、医師の後遺障害診断書にきちんと症状を書いてもらうことが大事です。特に、むち打ち症の場合は、他覚所見がない場合が多く、後遺障害の認定がされにくい症状の一つです。ですから、交通事故に遭われた場合は、早い段階で、一度弁護士等の専門家にご相談いただいたほうが良いと思います。
弁護士がお手伝いできるのは、治療後の示談交渉だけと思われがちですが、治療中であっても、医師にどのように症状を伝えるべきか、診断書に何を記載してもらうべきかをアドバイスし、後遺障害の認定に不利にならないようなお手伝いが可能です。
また、症状によっては、痛みやシビレなどの自覚症状を確認するためのテスト(ジャクソンテストやスパークリングテストのような、患部を圧迫して痛みやシビレの有無を調べる神経学的診断)を行ってもらうようにアドバイスを行うこともあります。このように、交通事故による怪我で、後遺障害を認定してもらうには、治療中の準備も大事になってきます。
ご加入の交通事故保険に弁護士特約が付いている場合は、弁護士費用も保険から払ってもらうことも可能ですので、交通事故に遭われたときは、加入されている保険をご確認いただき、早い段階でご相談いただければと思います。
この記事を書いた人
弁護士 吉津健三
福島県只見町出身。中央大学法学部法律学科卒。
平成18年、福島県郡山市できつ法律事務所を設立。
令和3年度、福島県弁護士会会長を務める。
コメント
郡山市の皆様の法的トラブルが一刻も早く解決できるよう
常に迅速な対応を心掛けています。一人で抱えずにご相談ください。
きつ法律事務所 吉津健三