2016.6.20

交通事故の慰謝料について

郡山市内をバイクで走行中、自動車と接触し、膝蓋骨(膝のお皿の部分)を骨折された方からの相談事例を紹介します。

事故後、3ヶ月間で6回ほど通院し、怪我は完治したものの、先日、相手の方の保険会社から、怪我に対する慰謝料として50,400円支払うとの提示を受けたそうです。相談者様は、金額が少ないと感じておられ、交通事故における慰謝料の額はどのように決められるのか知りたい、という内容でした。

交通事故の慰謝料の額は、治療日数で決まります。

慰謝料の額は、入通院にかかった実際の日数によって決まります、なぜなら、慰謝料は、怪我によって痛い思いをした分の精神的損害を補償するために支払われるものだからです。治療に日数がかかれば、その分、痛い思いをした期間も長いため、慰謝料の額も高額になります。
ですから、会社や家事の都合などでなかなか通院できない場合もあると思いますが、我慢して通院しなかったりすると、治療も進まないうえに、慰謝料の額も下がってしまうので、逆効果です。

保険会社からの提示額は、裁判基準よりも低い。

保険会社からの提示額として多いのが、

  1. 実際の入通院日数×2(相談者様の場合は6日×2=12日)
  2. 治療期間(相談者様の場合は3ヶ月=90日)

を比べて、少ないほうの日数に1日当たり4,200円をかける(相談者様の場合、①の方が少ないので、12×4,200=50,400円)という算定方法です。
これは、自賠責保険の基準を参考にしているのですが、実際に裁判になったときに使用されることの多い民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称、「赤い本」と呼ばれる本)によれば、通院期間が3ヶ月の場合の慰謝料は73万円とされています(ただし、通院実日数の3.5倍として本件では約20万円となる可能性もあります)。
保険会社の基準がいかに低いかおわかりいただけると思います。

しっかり治療をし、適切な慰謝料を支払ってもらいましょう。

交通事故に遭ったら、まずはしっかりと治療をして怪我を治すことが先決です。ただ、上で述べましたように、通院日数によって慰謝料の額が変わってきますので、都合を付けてきちんと通院することが大事です。
慰謝料についての保険会社との交渉は、怪我が治った後になると思います。最初は、保険会社側の基準で金額を提示してくると思いますが、裁判基準に従った金額を支払ってもらえるようにしっかり交渉しましょう。
裁判にならないと裁判基準では支払えない、などと言われるかもしれませんが、実際には、裁判まで行わなくても、弁護士が代理人として交渉することで、裁判基準(もしくはそれに近い額)で示談してくれる可能性が高くなります。

交通事故の慰謝料を増額させる交渉は弁護士へお任せ下さい。

今回のような交通事故の慰謝料に関するご相談については、一般の方だと保険会社がなかなか裁判基準では応じてくれないので、その後の交渉を弁護士にお任せいただく方がよいと思います。
ただ、裁判まではちょっとと思われる方もいらっしゃると思います。そこで、早期に示談を成立させるために、私であれば、保険会社に対し、

  • 早期に示談してくれるのであれば慰謝料として裁判基準よりも10%程度減額した65万円で合意すること
  • 裁判になれば、事故日からの利息や弁護士費用(全損害の10%程度であれば裁判所が認めてくれます)も請求すること

上記2点を伝えて交渉を行います。
裁判になれば、赤い本の基準で認められる可能性が高いので、赤本の基準より少し減額すれば、早期の示談に応じてくれる可能性が高いと思います。
運悪く交通事故に遭ってしまったときは、煩わしい示談交渉は専門家に任せて怪我の治療等に専念していただき、一刻も早く事故前の生活を取り戻していただきたいと考えております。
交通事故の示談交渉でお困りのことがあれば、お気軽にきつ法律事務所にご相談下さい。
なお、契約されている任意保険に弁護士特約が付いている方は、基本的には弁護士費用は全て保険で賄われることになりますので、不幸にして事故にまきこまれてしまった場合には、ご自身の任意保険の内容をご確認されることをお勧めいたします。

この記事を書いた人

吉津健三

弁護士 吉津健三
福島県只見町出身。中央大学法学部法律学科卒。
平成18年、福島県郡山市できつ法律事務所を設立。
令和3年度、福島県弁護士会会長を務める。

コメント
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常に迅速な対応を心掛けています。一人で抱えずにご相談ください。