相続法の中間試案まとまる

今年6月に公表された相続法改定の中間試案。

これは進んでゆく高齢化社会や家族の在り方についての考え方が昔とは違ってきている国民意識などを背景に、相続に関する規律も今の時代に適したものに見直す必要があると国が判断したものによります。

早ければ平成29年の通常国会に改定法案の提出が見込まれる中、ここでは今回の改定の軸の一つでもある遺された高齢配偶者の生活を保障する「遺産分割」についての改定のポイントをご紹介します。

実質的な公平を図る「遺産分割」に関する2つの見直し案

(1)配偶者の相続分の見直し

高齢化社会の進展や、高齢者の再婚の増加に伴い、パートナーの財産の形成・維持に対する貢献の程度は実に様々です。

それに対する反映に差異が見られるなど今のままでは不十分と批判の多い現行の法定相続分に対して、下記に記載する2つの見直し案が出されています。

【A案】
被相続人の財産が婚姻後に一定の割合以上増加した場合に、その割合に応じて配偶者の具体的な相続分を増やすという案
【B案】
婚姻後成立後、一定期間(※1)が経過した場合に、一定の要件(※2)のもとで又は当然に法的相続分を増やすという案

※1…例えば20年、もしくは30年という期間
※2…例えば当該夫婦の届け出などの必要書類

20年、30年と寄り添う時間が長ければ長いほど、配偶者のパートナーの生活を支える貢献度は自然と上がっていきますので、この試案は妥当だと感じます。

この改定が認められれば、遺された配偶者の遺産の取り分がぐっと増え、安心した老後を過ごせます。

(2)可分債権の遺産分割に関する取扱いの見直し

預貯金債権などの分割が可能な債権である「可分債権」を遺産分割の対象に含めることを前提にした下記の案が中間試案に出されています。

【A案】
遺産分割がされるまでの間は原則として各相続人の権利行使を認める案
【B案】
遺産分割がされるまでの間は原則として各相続人の権利行使を禁止する案

預貯金債権は、今の法律では遺産分割の対象から外れています。

そのため、相続の開始とともに相続人全員の合意もなく当然のように分割されて承継される仕組みになっています。

そうなると、遺産のほとんどが預貯金だった場合、亡くなった方から生前特別一人だけ贈与されていた利益や、亡くなった方にどれだけ貢献したかを考慮することなく形式的に法定相続分に従って分けられてしまうため、相続人の実質的な公平が図れなくなってしまうのです。

それを防ぐためには、預貯金債権も相続人全員の合意が必要な遺産分割の対象にする必要があります。

そこで預貯金債権における相続人の個別権利行使が可能かどうかを決める2つの案が出されたというわけです。

高齢化社会に向けて改正される「相続法」今後の行方

配偶者の相続分や、可分債権については過去何度も扱ってきましたが、現行の相続法では、相続を巡った紛争が激化するケースも多々見られました。

今後この中間試案が通ると、今まではどんなに婚姻期間が長くても配偶者には2分の1であった遺産分割の割合が3分の2まで引き上げられ、配偶者が生活の心配をすることなく、より豊かな老後を過ごすことが出来るでしょう。

今回の配偶者の法定相続分引き上げに関する案は、1980年に3分の1から2分の1に引き上げられて以来、実に36年振りとなります。

福島県郡山市のきつ法律事務所では、この中間試案を重く受け止め、今後の動向に注目していくと共に、これからも相続に関する様々なお悩みの解決へ向けてのお手伝いをさせて頂きます。

遺産相続でお悩みの方はぜひ一度ご相談下さい。