2018.4.5
パートやアルバイトなどの有期労働者は、2018年4月から本格化する「無期転換ルール」により、企業へ無期雇用への転換を求めることが出来るようになります。
しかし同時に、この無期転換ルールが始まる前に有期労働者との契約を打ち切る、各企業の「雇い止め」問題が今深刻化しています。
まさに駆け込みの「雇い止め」有期労働者からの相談相次ぐ
この問題の背景にある無期転換ルールとは、雇用の安定化を目的に、2012年に成立した改正労働契約法に盛り込まれたものであり、詳しくは以下のようになります。
・有期雇用の労働者が通算五年を超えて契約を結ぶと、雇い主に無期雇用への転換を申し込める制度で、企業側はこれを拒否できない。
結果、無期雇用を願う有期労働者に対し、無期の負担を理由に駆け込み的に有期雇用者との契約を打ち切る企業が多発しているのです。
このような問題において、労働契約法では雇い止めは「社会通念上相当であると認められないとき」は無効と定めていますが、個別の案件は司法の判断に委ねられているのが現状です。
企業にとって負担ではなくメリットと捉えるべき「無期転換」今後は?
しかし、有効求人倍率が1.56倍と43年ぶりに高水準となっている今、メリットは有期契約で働く人だけにあるのではありません。
企業側にも、無期転換により企業は人材確保の見通しが立てやすくなったり、社員の能力向上に繋がるなど、メリットはあります。
このように、ただ負担だと捉えるのではなく、無期転換は企業にとって人事や業務の在り方を考え直す良い機会とも言えます。
雇用する側と、雇用される側。本来ならば双方にメリットのあるこの制度。
きつ法律事務所でも今後の動きに注目していきたいと思っています。
この記事を書いた人
弁護士 吉津健三
福島県只見町出身。中央大学法学部法律学科卒。
平成18年、福島県郡山市できつ法律事務所を設立。
令和3年度、福島県弁護士会会長を務める。
コメント
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