2016.7.27

相続記事20160727

民法の相続分野の見直しを議論する法制審議会の部会が、高齢化で相続時の年齢が高くなった妻らの生活を保護することを目的とした中間試案をまとめました。

この中間試案には、遺された妻や子供世代の生活を守る案も盛り込まれています。

配偶者に関わる相続分野3つの見直し案について

今回の中間試案で注目したいのは、3つの配偶者に関する案です。

それぞれの案件の内容をご紹介します。

(1)2分の1から3分の2へ「配偶者法定相続分」引き上げ案

1つ目は、今まで2分の1だった遺産相続での配偶者の法定相続分を、3分の2に引き上げるというものです。

ただしこの場合、条件として結婚して一定期間(20年または30年)過ぎたケースでなくてはならないので結婚期間の短い方は対象にはなりません。

(2)財産の割合に応じて増える「配偶者の遺産相続」引き上げ案

2つ目は、結婚後に所有財産が一定以上増えた場合、その割合に応じて増やすというものです。

つまり、結婚後に増えた財産とそうでないものを分けたうえで、それぞれに対する分割の割合を変える方法です。

(3)配偶者の居住権を保護するための方策

これは、亡くなった夫が遺言で自宅を第三者に贈与しても、妻が住み続けられる「居住権」を新設するというものです。

現行法では長年住んでいる家から退去させられる恐れもあるため、この試案では一定期間もしくは妻が亡くなるまで権利を与える事が示されています。

法律の複雑化が懸念|難しい遺産相続の今後に注目

法務省によると、配偶者の法定相続分は1980年に3分の1から2分の1に引き上げられて以来変更はされておらず、まさに36年ぶりの改革ともいえます。

また、そのほか今までは相続の対象にならなかった人でも看病や介護をすれば相続人に金銭を請求できる仕組みなども検討されています。

しかし、これはあくまでも中間段階の試案であるため、亡くなった人に関わる全ての人に貢献を考慮しなければならない点や、場合によっては請求が多発して、かえって相続争いの火種になったり長期化したりする恐れがあることが懸念されています。

相続に関してきめ細かく対応するために法律が複雑化してしまう印象も受けますが、きつ法律事務所ではそれも必要なことと考え、今後の動きに注目していきます。


きつ法律事務所では、遺産相続に関するご相談をお受けしております。

亡くなられたご本様や相続人方のお一人お一人のお気持ちに寄り添いながら、相続の方法をご提案いたします。

福島県郡山市で相続に関するお悩みをお持ちの方は、きつ法律事務所へご相談ください。

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この記事を書いた人

吉津健三

弁護士 吉津健三
福島県只見町出身。中央大学法学部法律学科卒。
平成18年、福島県郡山市できつ法律事務所を設立。
令和3年度、福島県弁護士会会長を務める。

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