医療トラブルのご相談

医療事故ってどんなこと?

医療事故とは、医療機関において生じた人身事故を指します。
医療事故と言うと患者さんやそのご家族が被害を受けるイメージが強いかもしれませんが、実は医療従事者側が被害者になることもあります。
たとえば医師や看護師が診療において負傷してしまった、感染してしまったという場合も医療事故になりえます。

様々なメディアなどで用語が混在していますが、医療者側にミスがあった場合には医療事故ではなく、「医療過誤」として区別されることがあります。

医療過誤とは?医療事故とはどう違うのか?

医療事故と混同されがちなものに、医療過誤が挙げられます。
同じものと認識している方も少なくありませんが、両者には明確な違いがあります。

医療過誤は、医療従事者側に明らかな間違いがあって生じた被害を指します。
たとえば、薬を間違えた、患者を取り違えて治療を行った、輸血する血液型を間違えた、手術する部位や手術する患者を間違えたといったケースが挙げられます。

過去に起こった医療過誤

医療過誤が広く注目されるきっかけとなったのは、1999年に起こった患者取り違え事故です。
心臓の手術をすべき患者さんと肺の手術をすべき患者さんが取り違えられて、間違った手術が行われてしまいました。
また、2016年には外観の類似した薬剤の取り違え事例も起きています。
このように、全く本来の治療目的とは性質の異なる間違いをしてしまった場合は医療過誤として認められます。

 

医療過誤を疑ったときの留意点

あなた自身または家族が医療行為を受けたことによって身体に悪影響が出た場合、医療過誤を疑わざる負えないでしょう。
今回は、医療過誤の疑いを持った方向けに医療過誤について特筆させていただきます。

気になったことはとにかく記録しておく

あなた自身や、あなたの大切な方が医療過誤の被害に遭ったかもしれない…と疑われるとき、素早い対応が必要です。
医療過誤の発生からすぐに作成したメモや記録に沿った証言は、記憶だけの証言よりずっと信用性があります。
以下のようなことについて整理し、メモを残しておきましょう。

  1. 医療過誤に遭うまで、患者の病状や疾患はどんな状況であったか。
  2. 当該医療過誤に遭う前に診断を受けた医師がいれば、そこでどのような治療を行ったか。
  3. 医師の治療を受けた時期や、その時の診断、治療、その後の経過はどうだったか。
  4. 医療過誤が発生する直前までの医師の診療内容の詳しい情報や、病状の変化の詳しい情報。
  5. 医療過誤であると思った時期とそのきっかけは何か
  6. 医療過誤が発生したときの状況はどうか。自己、副作用、合併症などについて事前に説明を受けたか。

その他、関係があると思われることは何でもメモに残しておきましょう。

医師に説明を受けるとき

医師に実際に説明を受けるとき、被害者感情を持ってしまうと気持ちが爆発してしまいがちです。このようなとき、医師の説明を十分に引き出せないまま終わる事にもつながり、医師に危機意識を植え付けることでカルテの改ざんや廃棄を誘発してしまうことにもなります。
とにかく冷静に説明を聞き、それをメモに取って記録しましょう。説明を受ける際には、カルテを使って説明を求めることが必要であり、差支えのない範囲で申し入れても良いでしょう。

医療過誤の損害請求にも時効があるの?

医療過誤による損害を請求できるのは以下の二つの場合です。

1,不法行為責任
医療過誤の被害者(または)法定人が、損害および加害者を知った時から3年で時効になります。不法行為に当たる手術などからではなく、損害および加害者を知った時から時効が計算されます。加害者が一旦債務を認めるなどで時効が中断されることもあります。
また、症状が固定していない時には損害がまだ分かりませんので、時効はスタートしません。
2,債務不履行責任
債務不履行行為(手術など)から10年で時効となることが原則ですが、損害が確定しなければスタートできないのではといわれています。医療過誤の内容によっては、3年が経てば不法行為請求権につき時効が成立している可能性があり、20年を過ぎてしまうと時効とは関係なく、不法行為による請求はできなくなってしまいます。しかし、20年を経過しても債務不履行に基づいた請求については時効が中断している場合、まだ請求できる可能性もあります。

いずれにしても、できるだけ早い段階での弁護士への相談をおすすめします。

医療過誤のご相談を受けた弁護士の役割

医療という専門的な分野で一般の方が事実追及をするのは非常に困難です。
医療過誤の解決は医学的知見を含む専門性が要求されます。
こうした医療トラブルを解決するのも、弁護士の果たすべき役割の一つです。

相談する際に必要な書類は?

医師の処置や説明内容など、医療過誤に至る事実経過につき、出来る限り時系列で具体的かつ詳細に、記録化(メモ)したメモをご用意ください。
あわせて、早急に、出来る限りの関係資料を整理・収集してください。

  • 診断書
  • 死亡診断書
  • 医療費領収証等
  • 病院からの説明文書
  • お薬手帳
  • など。

また、カルテ(診療録や看護記録、検査記録、レントゲン検査やMRI検査などの画像データ等)を、すでにお持ちの場合には、それらも全てお持ちください。
カルテなどのデータは、患者本人や患者の遺族が病院あるいは診療所の窓口にて開示手続きを行なうことで入手することが可能です。

医療過誤を弁護士に依頼した場合の流れ

大きな流れは、「カルテ等の収集→過失調査→示談交渉→訴訟」となります。

1,ご相談
被害発生に至るまでの診療経過をお聞きし、医師等の処置の法的な問題点を検討いたします。
その上で、医療過誤が考えられる場合、次の医療調査の段階に進みます。
2,カルテ等の資料や医学文献による検討
相談の結果、過失が認められる可能性が高まった場合には、医療過誤に該当するかどうかを調査します。
この調査はカルテを病院に対する開示請求で入手するかどうか、証拠保全(抜き打ち的に相手方病院に行ってカルテ等のコピーをとる手続き)によって入手する必要について検討します。
証拠保全の申し立てが必要な場合とは、病院の対応に不審な点があり、カルテ開示請求では医療記録の一部が開示されないなどの恐れがある場合です。
また、前医や後医がある場合、相手方医療機関のみならず前医や後医の診療記録も入手します。
3,示談交渉または損害賠償請求訴訟
診療記録を入手したら、弁護士が診療記録を分析して医師に対する質問書ないし鑑定事項書を作成し、問題となっている科の専門医に過失調査を依頼します。
過失調査の結果、過失がある場合は示談交渉へ進みます。
示談交渉で相手方が過失を否定して争ってきたときは、提訴(裁判を起こすこと)せざるを得なくなります。
4,訴訟
直接交渉が決裂した場合には裁判を起こすという流れになります。
勝訴するためには適切な証拠集めが重要となりますので、有効な証拠をできる限りスピーディに提出します。
なお、訴訟の途中で裁判所の勧めから和解になることもあります。

できるだけ早期に弁護士に相談を

患者やその家族にとって、資料を集めることには限界があります。
また、弁護士に相談せずに証拠を集めようとする患者側の行動は感情に流されやすく、かえって悪い状況を生み出しかねません。そこで、できるだけ早い弁護士への相談をおすすめしています。

実際に医療被害を受けたことが明らかになった時点で、弁護士はまず被害者やご家族をどのように助けるかを考えます。被害に遭った場合、命を失ったり、体に重大な後遺症が残ることが考えられます。
失った命を取り戻すことはできませんが、どうしてそうなったのかを明らかにすることで、心の痛みをすこしでも和らげるために賠償金の支払いを請求することになります。

  • 医療過誤の原因を知りたい
  • 責任が誰にあるのかを明確にしたい
  • 医師から謝罪してほしい
  • 損害の賠償を請求したい

医療過誤訴訟と一口に言っても、被害者の方のご希望は様々であり、徹底した処罰を強く希望される場合もあれば、法的責任の追及は希望されず謝罪や再発防止のための措置・施策だけを希望されることもあります。
訴訟を起こす前に、どのような結果を望んでいるのかを、ご自身の中で整理しておく必要があります。

この記事を書いた人

吉津健三

弁護士 吉津健三
福島県只見町出身。中央大学法学部法律学科卒。
平成18年、福島県郡山市できつ法律事務所を設立。
令和3年度、福島県弁護士会会長を務める。

コメント
郡山市の皆様の法的トラブルが一刻も早く解決できるよう
常に迅速な対応を心掛けています。一人で抱えずにご相談ください。